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ライター標本5・6

インドネシア帰りのかけ出しフリー編集・ライターのブログ

「番組を作るのは会議室じゃない!現場のお前たちだ!」とADをはげましたヒロミ

■カンペを奪って破り捨てたのは、ADをはげますためだった

すごいいまさらというか、ちょうど1年前なんだけど、2016年のお正月にTBSで放送された番組「新春解禁!余談大賞」で、タレントのヒロミが「スタッフに怒鳴り散らした」とネットニュースに書かれた。

ヒロミがスタッフに怒り爆発 カンペを奪い取り破り捨てる
http://news.livedoor.com/article/detail/11021327/

この回を、今でも鮮明に覚えているんだけど、これはスタッフにただ怒鳴り散らした、という話ではなかった。

たしかに、カンペを奪い取って破り捨てるという、若干凶暴な行動もあった。でも、むしろ、番組作りの現場スタッフをはげますような話だったはず。ぼく自身、編集・ライターとして、いろんな方面からの指示を受けながら、右往左往することも多い身としては、とてもはげまされるエピソードだったのだ。

ヒロミは「今のバラエティ番組はナメたカンペが多すぎる」と主張する。彼の知る昔の収録現場では、カンペはあったものの、タレントが企画の内容を把握していれば、あとはタレントが自由に盛り上げるのが当たり前だったというのだ。

ところが、昨今の現場ではカンペで逐一指示が飛び、それにタレントの側も従うケースが多いというのだ。ヒロミは、スタジオの空気を無視してカンペ通りに進行するMCに対しても怒りを覚えるとか。


なぜ「スタジオの空気を無視してカンペ」が出てしまうのか。その理由をヒロミは、「現場にいないで、別の場所にいるプロデューサーやディレクターの指示に従うから、スタジオの空気にそぐわない進行になってしまう」からだ、と主張していたのだ。

続けて、「別の場所にいる人間の指示に従ってないで、現場にいるお前が指示をしろよ。違う場所にいる偉い奴らじゃなくて、現場にいるお前たちが番組を作るんだよ!」と発破をかけていた。

もはや、「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!」と喝破した、踊る大捜査線の青島警部補ばりの名言ではないか。

■どんな業界でも「ものづくりは現場で起こっている」

たしかに、テレビの番組にかぎらず、ものづくりの現場においては、いや、なんなら世の中のあらゆる仕事において、いろんな思惑や事情が絡み合っていて、現場の人たちは、ただ指示に従うだけになりがちだ。

正直、そこまで詳しくは知らないけど、テレビ業界では、その傾向は強いのかもしれない。
ヒロミが干される前に好き勝手していた時期に比べると、コンプライアンスだなんだと、どんどん攻めづらくなっていて、現場のスタッフも、ただ指示に従うだけになっていってるのかもしれない。

そんな状況を見て、「ものづくりをしてるのは、現場にいるお前たちなんだ」と発破をかけてくれたのが、ヒロミだったのだ。

上の人がこう言ってるから…諸々の事情があるから…と言いわけばっかりするのではなく、出来る限りで良いので、現場の判断でおもしろいことをやろう。

そう思えた番組だったので、「ただキレた話」に要約する記事を見て、モヤモヤした。

ライターとしては、PV至上主義に負けないように、こういう記事を書かないことが、このヒロミのコメントに応えることなのかな、と思う。