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ライター標本5・6

インドネシア帰りのかけ出しフリー編集・ライターのブログ

キーワードは「共犯者をつくる」ーキングコング西野とぼくのりりっくぼうよみの共通点と方向性の違い

ハットをかぶってチケットを手売りする売れっ子芸人

割と炎上しがちなキングコングの西野亮廣さんが、彼のなかで恐らく過去最大級の火力で燃え上がっている。


ぼくはもともとbaseよしもとの芸人さんたちが大好きで、キングコングもそのなかのコンビだった。
西野さんは一時期、当時のブログ「西野公論」で、「おれは常に努力してる、がんばってる」的な記事を連発していた。
この件を「はねるのトびら」でネタにされ、「いつもドヤ顔で走ってきたことをアピールする」などといじられて、笑いにはなってたのはさすがだったけど。


ぼくはそれを見て、「芸人さんは努力してる姿見せないほうがいいんじゃないかな?」とあんまり快くは思っていなかった。絵本を描きはじめたときも、周りの芸人さんたちと同じで、割と冷ややかな目で見ていた記憶がある。


その気持ちが変わったのは、2014年に開催した「西野亮廣 独演会in日比谷公会堂」のチケットを手売りしはじめたとき。ツイッター上で、「今日は〇〇時に、どこどこにいます」と告知し、本人が本当に手売りするシステムだった。なんとなくおもしろいので、ある日、連絡して現地に行ってみると、ハットをかぶった西野さんがいた。2000円(くらいだった気がする)を払って、チケットを買った。場所は新宿駅の東南口。


f:id:mori17:20170123214852p:plain:w300
https://twitter.com/nishinoakihiro/status/468335197767733248/photo/1
はてなブログ経由でうまく引用できなかったので、キャプチャとリンク


この場所は奇しくも、ルミネtheよしもとのお膝元。気軽に彼をディスっている人たちは、ルミネのチケット売りや呼び込みをスタッフにまかせているのに対して、すでにかなり売れっ子の西野さんは自分で手売りをしているという対比。(もちろん、ルミネに出る人たちは、超有名人が多いので、そりゃそうだろ、ってのはその通りなんですが)そして、2年連続で、割とでかめの日比谷公会堂、2016年には東京キネマ倶楽部ソールドアウトしている。

クラウドファンディングで共犯者をつくる

その前後から、ブログやFacebookをフォローして、定期的に見るようになった。それらのポストでは、下記のような主張を頻繁に見かけるようになる。

チケットを手売りしているのも、絵本を書いているのも、いままでお笑いに興味を持っていなかった人が、劇場に足を運んでもらえるように、いろんな活動をしているのだ、と。


昨年末に、現在のブログ「『魔法のコンパス』キングコング西野オフィシャルダイアリー」にて、「まだ『情報解禁』とか言ってんの?」というエントリが上がった。

ちなみに、昨日、21万部を突破した『えんとつ町のプペル』は、クラウドファンディングを使って、1万人で作った。
支援してもらうことで、作り手側にまわってもらったわけだ。
クラウドファンディングの本質は、資金調達ではなく、共犯者作りだ。
『えんとつ町のプペル』は発売1ヶ月前の予約で1万部が売れた。

何が言いたいかというとね、
『お客さん』を増やすのではなくて、『作り手』を増やした方がいいということ。
なぜなら、『作り手』は、そのまま『お客さん』になるから。
そして、『お客さん』なんて、もう存在していないから。


そうやって考えていくと、『情報解禁』という文化が、いかに時代に合っていないかが見えてくる。

誰に向けて情報を解禁するつもり?

お客さんなんて、いないぜ?

引用元:キングコング 西野 公式ブログ - まだ『情報解禁』とか言ってんの? - Powered by LINE


これは、けっこうクリティカルな指摘であり、なるほど、そうだよな…。と思わされた。


おもしろいのは、「クラウドファンディングは、共犯者作りだ」と言っていること。


実は、クラウドファンディングで自分だけのメディアを作ったぼくのりりっくぼうよみさんも、同じような事を言っている。

― なぜクラウドファンディングで出資を募ることにしたんですか?

今、自分が出資を募ったらどのくらいの共感を得られるのだろう、と。自分の価値を証明する、実験的な意味合いが強いですね。

価値を証明するとき、お金って便利な尺度なんです。たとえば僕のプロジェクトに3000円払ってくれた人がいたとします。その人はさまざまな使い道があるなかから『ぼくのりりっくのぼうよみ』のクラウドファンディングを選んでくれたわけです。僕にとっては価値を認めてもらえたということになる。

― 出資者は「ファン」という関係を超えそうですね。


誤解を恐れずに言うと“共犯者”ですね。出資することで「お金を払ったんだから、楽しまなきゃ」というある種の強迫観念が芽生えると思うんです。

『Noah's Ark』はあえて万人受けする内容にはしていません。『Noah's Ark』のようなメディアの場合、出資者とそうでない人とで得られる情報の質や量に差が出てきます。つまり僕のことを理解して出資してくれた人を対象としているからこそ挑戦ができる。

出資者のみなさんとは役割が違うだけで、僕との間にヘンな力関係みたいなものはありません。高揚感や達成感を共有していく存在になれると思っています。

引用元:『ぼくのりりっくのぼうよみ』の言葉たち -インターネット、クラウドファンディング、未来について。 | CAREER HACK


クラウドファンディングを使って、共犯者をつくる。

ふたりとも先進的な考えを持っていて、同じ言葉を使っているのに、まわりの反応がまったく違うのがおもしろい。


何が違うのかといえば、目的の方向性の差なんだと思う。


ぼくりりさんは、目的を共有できる人の選別としてお金を尺度にした。
(ぼくもクラウドファンディングに参加しました。どんな対談記事がアップされるのか楽しみだし、一発目もなかなかおもしろかった。ぼくりり数学解説CDとパーカーが届くの楽しみ。)


西野さんは、いままで自分を知らなかった人たちにも認知を広げることが目的のため、攻撃性の強い言葉を使っている。
そこへの反論や批判をすべて薪に変えて火を大きくしている。


本人もブログでこう書いている。

「是非のイタチごっこ」こそが最大の無料広告で、近年だと、『アイスバケツチャレンジ』がその代表格。

引用元:キングコング 西野 公式ブログ - ウーマンラッシュアワー村本君の指摘 - Powered by LINE



割と計算づくで攻撃的な立ち回りをしているので、いろんな人が批判をすればするほど、特に有名な人がその流れに乗れば載るほど、彼の思い通りなので、ほくそ笑んでいるのではないでしょうか。


西野さんの攻撃的な、いうなれば失礼な物言いのため、僕が知っている人たちの何人かも怒っていて、何とも言えない悲しい気持ちにもなっているんだけど…。


どうせなので、この火がどこまで大きくなるのか、その火の大きさは、劇場に足を運ぶ人をどれだけ増やすのか。


ひっそり楽しみにしている。