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ライター標本5・6

インドネシア帰りのかけ出しフリー編集・ライターのブログ

立っていてはいけない国、日本

出先からの帰り道で、ある場所を通ってふと思い出した。大きな敷地を持った高級マンションとその入り口の隣にある二階建ての計6部屋ほどしかない小さなアパートが並んだ場所。

高校生の頃、そのアパートの前で友人の帰宅を待っていたときの話だ。
かなり理不尽な、かつ不愉快な思いをしたことを思い出したので書いてみる。


そのときの見取り図↓
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待ち合わせをしたにもかかわらず、不在であるアパートの前で、友人の帰りを待っていた。
「おい、そこのきみ!」と高級マンションの裏口から出てきたおっさんが、なかなかの剣幕で割と大きな声をあげている。周りに人はいないので、どうやら僕に話しかけているようだった。「ここで何をやってるんだ」と尋ねてきたので、友人と彼の部屋で待ち合わせをしていて、不在のようなので待っている旨を応えた。すると「こんなところで突っ立っているんじゃない、周りの人が迷惑しているだろう!」と怒鳴ってきた。

周りの人が迷惑?ぼくがアパートの前に立っているだけで。何の迷惑なのか、と尋ねた。すると「ほかのマンションの住民が怖がってるんだよ!警察呼ぶぞ!」とさらに大きな声で怒鳴ってきた。

警察なら是非呼んでください、ぼく何も悪い事してませんから、と答えると「お前えらそうに居直るのか!待ち合わせなんか、駅のほうでやればいいだろう!喫茶店とか」とかなり筋の悪い返しをしてきた。



いわゆるDQNの類いではなく、こぎれいな格好をしている妙齢の男性だ。高級マンションから出てきた事も考えると、そこそこの企業で悪くない年収をもらっている、いわゆる"ジョーシキ"のある大人ではあると思う。

実はこの当時、ぼくは少し奇抜な格好をしている事が多かった。このときも、金髪でストローハットをかぶり、タンクトップを着ていたのだ。その意味では、このおっさんは「コンビニの前でたむろしている不良を注意する感覚」で、正義の味方として注意してやってる、という感覚だったのだろうと推測できる。

コンビニの前でたむろしている不良は、私有地に入って、営業妨害になる可能性がある。コンビニの所有者は立ち退く要望を出すことに妥当性はあるはずだ。

しかしぼくはマンションの私有地に入っている訳でもなく、車の通りの邪魔をしている訳でもない。ただ、立っていて、友人の帰宅を待っているだけだ。何の法律もおかしていない。警察も、呼ばれたとしても何もできないだろう。

彼の住んでいるマンションの住人が、帰宅時にぼくとすれ違って、誰か知らない人がいて気味が悪いと言ったのかもしれない。そして、自分の住んでいるマンションの前に住人ではなさそうな人が立っていたら気味が悪いと思う感情は理解できる。しかし、注意する側が、自分を絶対善だと思って大声を上げるほどの妥当性はないはず。

金髪=不良=社会"ジョーシキ"的に間違ってるやつ=成敗!
みたいな短絡的なイメージも相まって、攻撃的に怒鳴りつける。しかも「警察呼ぶぞ」と言っている。

よくネット上でも「通報するぞ」とかいう言葉を見るとこがあるんだけど、なんでそんなに自分たちに正当性があると絶対視できるのかなあと思う場面にときどき遭遇する。

結論のようなまとめはないのだけれど、法律などによる取り締まりではなく「暗黙の了解的な何か(ジョーシキ)から外れると、とたんに誰もが攻撃していい」みたいな合意があるみたいで、なんだか怖いなあ、という思いをしたことがある、という思い出話。これ、いじめとか、容疑者になった時点で世間的有罪が確定すること、小さな街によそ者がとけ込みづらい事とか、いろいろなことに似てない?

いずれにせよ、立っているだけで攻撃されるって何かおかしいよなあ。

ちなみに、わかる人はわかると思うけど。タイトルは「踊ってはいけない国、日本 ---風営法問題と過剰規制される社会」という本のオマージュです。