ライター標本5・6

インドネシア帰りのかけ出しフリー編集・ライターのブログ

シューカツについて、ニコ生でひろゆきと対談した時の振り返りとその後の話

f:id:mori17:20140424193744j:plain:W420
写真は http://logmi.jp/10583 より。カーキのパンツ履いてるのがぼく。


◆目次
・はじめに
・2年留年して、海外へ
・シューカツはコンテンツとデリバリーに分けられる
・意外に社長とか会ってくれるんですよね
・しきたりに踊らされるな
・最後に

はじめに

マヨネーズ一気飲みで内定ゲット? ひろゆき×石渡嶺司氏が”就活の都市伝説”をぶった斬り
http://logmi.jp/10581

ひろゆき「高学歴のほうがいいに決まってるじゃん」 就活における”学歴神話”を専門家と徹底討論!
http://logmi.jp/10582

ひろゆき「カタチだけ真似しても受かるワケない」 就活の”しきたり”に踊らされる学生たちに警告!
http://logmi.jp/10583

上記エントリのうち三つ目がはてブのホッテントリに入ってたのを発見して、懐かしいなと思いながら読んだ。
このときは、大学時代に一緒にイベントをやった友人何人かと出演した。自分の書き起こされてる発言もあったので、シューカツについて語った学生がその後どうしたのか。もし興味がある人がいれば補足のために、この番組の後どうしたか、また発言の趣旨や当時の状況について追記する。

シューカツについて語る学生、もしくは内定者みたいなインタビューよくあるけど、その後どうなったのかってあんまり追跡されないよね。有名企業に内定した学生は、大学生からみればすごい先輩かもしれないけど、会社に入れば最下っ端なのでそれは自然なことかもしれないけど。
シューカツ中の方へ
では、以下ぼくの発言箇所と、その趣旨について。


2年留年して、海外へ

ひろゆき:ちなみに今日で、内定採ってますっていう人、何人ぐらいいます?


石渡:あ。(一人の学生を指して)逆に真面目そうな感じですね。


ひろゆき:(笑)。


石渡:あ、こっちはあんまり。悪く言えばいい加減そうだという。


ひろゆき:大学6年間行かれた?(笑)


学生1:(うなずく)


ひろゆき:6年間、何やってたんですか?


学生:大学3年までは部活をやってたんですけど。


ひろゆき:何部?


学生:バスケットボール部ですね。小学校からずっとやってました。その後は、オフ会行ったりとか、イベントをやったりとか。そんなことをしてましたね。


ひろゆき:4年生大学を6年行ったの?


学生:はい。


ひろゆき:院卒とかではない。


学生:留年2回しました。


ひろゆき:面接とかで、「何してたんですか?」とか聞かれるじゃないですか。


学生:聞かれますね。ただ、僕、日本の一般企業のエントリーシートを出してとかじゃなくて、一応、海外の会社に行こうかなって思ってまして。知り合いの知り合いにメールを出して、電話して、アプリケーションシートみたいなのを出して、会って、みたいな感じで。そのうちまた、研修に行ってくるんですけど。だからいわゆる「御社は……」みたいなのは、あんまりないですね。


ひろゆき:リクナビに登録して、「何社も行くぜ!」っていうんじゃなくて、行きたいところに自分から行って、通りましたって感じなんだ。


学生:そうですね。そんな感じですね。

「いいかげんそうな」見た目で、発言機会を与えられた最初の機会。実は当時ニコニコ動画大好きで、コメントありの方がおもしろいためアニメをあえてニコ動で見たり(当時バンブレとか見てたな)、歌ってみたにハマってオフ会行ったりしてた。なのでひろゆきと対談できるのに結構テンション上がって、番組前に美容室行ってカラーリングしたりしてたことを思い出した。

小学校からバスケットボールをやってて、大学まで体育会だった。もともと大学で続けるほど上手くなかったうえに、僕が入部した翌年から、スポーツ推薦のみ入部できる仕組みになったので上手い後輩たちが続々入部してきた。バスケットに没頭できる最後のチャンスかなと重い入部したけれど、バスケの上手さが唯一無二の評価対象である世界で、最下層であり続けるのはつらかった。また、絶対に試合にに出られないのに
週六日間も時間が取られるのはどうかと思っていた事もあり、三年生になる前に退部した。

その後、社会問題などを討論するサークルに入って、今まで全く興味のなかったジャーナリズムの分野に惹かれるようになる。

発言時間が限られてたので詳細は書いてなかったけど、二年留年してたのは就職留年のため。「一般企業のエントリーシートとか書いた事無い」的な発言は、今思うと完全なウソですね。新聞社の試験たくさん受けました。地方紙の面接のために新幹線とか乗ったあげく、落ちてかえってきたりしてましたすいません。新聞社に入りたくて試験受けてたけど、全然通らないのでどうしようかな〜と思ってたときに。通ってた作文塾の先生の、会社時代の後輩がインドネシアの日本語新聞で編集長をやってることを知り、電話してみた次第。その後の顛末はこちらのエントリをどうぞ。
http://rikoshugi.hatenablog.com/entry/2014/04/24/084457

海外で就職というと、外資系(特に欧米)の企業に就職したシューカツエリートじゃん、と思われるかもしれない。しかし東南アジアの現地採用なので、今思うと番組視聴者には現実とは違う印象を与えたかも。ぜんぜんエリートじゃないよ。むしろかなり泥くさ系。

シューカツはコンテンツとデリバリーに分けられる

学生:就活ってコンテンツとデリバリーに分けられると思うんですよ。コンテンツっていうのは今までやってきたことですよね。デリバリーってのは、どう伝えるかってことですよね。例えば、コンビニとかで発注とかまでやらされるようになったりするじゃないですか、2、3年とやってベテランになったら。発注とかまでやって、こういうことをやってましたって、実は地味にいい仕事だったりするじゃないですか。


なのに、そういう人がサークル長とかやったときに、リーダーのほうがカッコいいかなとか言って、リーダーのことで自分を説明しようとしたりするんですけど、実は地味なことの中にも売り方によってはすごくいい、って実はみんな持ってて。


例えば、ネットゲームを4年間やってましたとか、ネトゲーを4年間って実はすごいかもしれないじゃないですか。説明の仕方によっては。だから、コンテンツを作ることは1年から3年までに出来ますし、デリバリーの部分は、やっぱりちょっと小手先になっちゃいますけど、うまく伝えるやり方みたいなこと。例えば短く話すとか。僕それ、すごく苦手なんですけど。そういうことを気を遣えば使えばもうちょっとみんな、うまく就活ができるんじゃないかなって、今思ってます。

たぶんぼくの発言。「コンテンツとデリバリー」という言葉を使った記憶は無いけど、「コンビニのアルバイトも立派な職歴のはずで、非正規だからといって評価されないのはおかしいし、アピールすればいい」という趣旨の発言は大学時代から頻繁にしてるので。

ドヤ顔でシューカツを語ってる訳ですが、面接落ちまくってます。ていうかいわゆるシューカツの試験は一社も通ってない。コネがあって、一時面接さえ突破すれば引っ張ってもらえる機会があったのだけど、それすらも一次で落ちた。今考えると圧倒的な努力不足だったけど、周りの友人が通っていくのに自分は箸にも棒にも引っかからない状況は、精神的につらかった。自分には価値がない、という烙印を推され続ける訳で。逆にじゃかるた新聞の内定もらってからは、心に余裕ができて、この番組時の発言にいたるわけである。

その後から、わりとすごい人たちと並んでイベントで登壇スピーチできる機会を得たり、テレビのや雑誌の取材受けたりすることもあった。(もちろん、ぼくの何かが評価された訳ではなく、どのメディアも「海外に就職する若者」としてのパーツがほしかっただけ。)

コンテンツと言うのは自分がやってきた事で、デリバリーは伝え方を工夫しようと言う事。まったく普通のことを言っているだけ。企業側が見たいのは、素直に言う事聞きそうなのはもちろんのこと、言われた事だけやる訳でなく、自分から何かを提案できるやつかどうかだと思う。どんなつまらないバイトでも、工夫の余地はある。

例えば、ある地方紙の東京支社でバイトしてたときのこと。ただ電話やコピーなど雑用をやっていた。たまに広告記事の原型を書かせてもらったりしてたけど。ある日、プロ野球のドラフト会議が開催された日に出勤した。そのドラフトでは、その地方紙の地元の甲子園スターがどこに行くかが決まる重要な日だった。その新聞社の地元のチームに入るような事があれば、ネタが増えて、地域も活性化する。飯のタネとしてもううような日だった。

本当に急ぎの仕事がある次長以外は、みんな仕事そっちのけでテレビに釘付けだった。そんな中、電話が鳴った。バイトに入りたてだったぼくは、空気を読めず、かかってきた電話をそのままつないでしまったのだ。当時は、電話口で身内に「さん」をつけてしまったりするほど電話応対もままならなかった。

今つなぐのかよ、みたいなすごい目で見られたのを覚えている。何が言いたいかと言うと、自分の仕事は何か、ということを把握するべきであり、それができていればどんなつまらない仕事でも、アピールにつながる仕事は作り出せる。

上記の電話の例で行くと、ぼくの仕事は電話を取ってコピーをすることではなく、「営業部の仕事における、手だけを動かせばいい雑務をこなし、営業部員の負担をへらすこと」だったのだ。これに気づかずに「電話をとってつなぐ」ということを仕事だと思い、決まった事のみを遂行する思考に陥っていたためこんなことになった。「負担を減らす事」だと認識していれば、担当者が外出している事にして、よっぽど急ぎの電話以外はつなぐ必要が無かったはず。

こんな感じで、他のシューカツ候補者に比べて自分のコンテンツが乏しいと思った場合。上記のようなことを考えて、伝え方を変えるだけで違ったイメージになりますよと言う話。


意外に社長とか会ってくれるんですよね

学生:僕、結構そういうのやってたんですけど。例えばある程度以上の規模の会社、たぶん300人くらいが限度だと思うんですけど、300とか150人以下とかの会社とかだと、意外に社長とか会ってくれるんですよね。興味あるみたいで、普通に行くと。


だから、リクナビに登録して出てるとこしか採用されるところがない、とか、ホームページ出てるとこしかない、って思っちゃうとすごく、窮屈な閉塞感が漂っちゃうんですけど。行ってみるといろいろ会ってくれて、しかも実地とかやって気が合えば雇ってくれる、みたいなのが結構いたんですよ。


ひろゆき:それは何? 電話番号とか調べてかけるの?


学生:それもありますね。あと教授の授業で講師として来た人とかに、興味あるんでお話を聞かせてくださいみたいな感じで行くと、結構ノリノリで。むしろ学生の話が聞きたいなみたいな感じで。

これも、大したサンプル数がないくせに大きな顔してて恥ずかしい。電話番号調べてかけたのはじゃかるた新聞のみ。「教授の授業で講師として来た人とかに」っていうのも、2社だけで。ただ、この二社は両方社長がわざわざ出向いて来ていて、学生の話が聞きたいってノリノリだったのは本当。そしてその二人が、「300人以下の会社であれば、自分から出向いてきた大学生なら喜んで会ってくれれうだろうし、自分もそうだ」って口を揃えていってたのでウソではない。中小が採用に困ってるっていうのもかなりマジっぽい。

いずれにせよ、リクナビ等に出ている求人を表玄関だとすると、裏の勝手口はいろんな会社が開けっ放しにしていて、その辺をアタックすることを行動範囲にすると、いろんな可能性が見えてくると言う話。

じゃかるた新聞のときも、定期採用やってるか知らないけどとりあえず会社のホームページ見て電話したところから話がスタートしたし、今勤めている会社も、トップの方と以前名刺交換させていただいたので、とりあえず「週四日しか入りたくないんですけど、働かせてくれませんか」と完全になめたメールしたところ、一度は断られたけど、三週間ほど後に「やっぱ人足りなくなったので来て」という連絡をいただいた。言ってみるもんですよ、何でも。失うものないし。

あと、書いてて思い出したことがみっつ。「靖国」という映画が右翼団体の街宣等の影響で上映中止されるケースが相次いだ状況があった。特に政治的意見は持ってなかったけど、見れないってのはおかしいと思った。「おれらのサークルで上映しちゃおうぜ」って感じで配給会社に電話してみて、事務所へ足を運んだ。すると、社長がわざわざ1時間以上割いて様々な話につきあってくれたこともあった。右翼の襲撃を恐れる大学側との交渉とかもやったけど、結局、普通に映画館で上映される事になったので、お役御免になった。

他には、現在任意団体の活動で、国会議員のインタビューを集めている。何の後ろ盾も無く、NPO法人すらまだ設立していない、よくわからない任意団体のインタビューなんか誰が受けてくれるのかと思いつつ、企画書を作って電話とFAXをしてみた。すると、趣旨に賛同してくれる方が意外に多く、そこから紹介してもらったりしてネットワークが広がりつつある。

広告営業やってたときも、とりあえず電話してみたり、意中の相手がいる場に顔を出してみたりすると、意外に事態が好転する事もあった。

いずれにせよ、とりあえず自分の活動(シューカツだろうと商売だろうと社会的活動だろうと)の意義を理論武装して、直接電話してみると色々捗るなあ、という実感だけは様々な局面で培った気がする。ビジネスでも同じで、「買ってくださいよ〜お願いします」と仕立てに出るんじゃ無くて、「うちの商品(もしくはサービス)を使うとこんなに得しますよ」という姿勢を、虚勢を張ってでも維持すると意外と上手く行く事もあった。

シューカツでも、「採用してもらえないでしょうか」っておどおどしてるよりかは「ぼくこれこれこんな感じで使えると思うんですけど、とらなくていいんですか」的な堂々としてるほうがよさそう。

なので、こんな長文を読んでる奇特な(もしくはシューカツ上手く行かなくて精神的に危篤な)方は、とりあえず正面から直接電話してみるのはアリ。でも理論武装はしてね。

しきたりに踊らされるな

別の学生:いろんなトリッキーな話が出てると思うんですけど、しきたりっていう風に、石渡さんが皮肉ってるのって、それに踊らされるなってことじゃないですか、やっぱり。要するに、財務諸表とかIR情報とか見るのも、OB訪問するのもいいんですけど、何故それをやったのかってのがすごい重要で。


そいつの話を聞きたいからOB訪問をしたとかなら意味があるんですけど、しなきゃいけないっぽいよ、でするってのが超意味なくて。


ひろゆき:受かるらしいから来ました! みたいな。うぜーよ、お前みたいな。


学生:それが就活のしきたりなんですよ。

この発言、トリッキーって言いたいだけやん。南海キャンディーズの山里亮太を崇拝しているんだけど、2004年のM-1で「中盤でトリッキーな事するなよ〜」っていう突っ込みがあって影響されていた模様。

「これをしなきゃいけないっぽい」っていう都市伝説のようなものが多数存在するのが、シューカツ。正解を探してしまうんだよね。面接する人からすればスーツが黒かグレーかなんてどうでもいいし、OB訪問したかなんかどうでもいい。なんでここ来たの?っていうのが重要、きっと。

そして、志望動機ってやつ。本当にこれがやりたいのか?とか悩んでしまう。OB訪問とかで先輩に「なんでこの仕事選んだんですか?」とか答えのヒントが出てこないかキラキラした目で返答を待っても何も出てこないよ。だってその先輩も、なんで選んだのかなんかわからないから。決めちゃうしか無いんだよな「これをやりたいってことにしよう」って感じで。自分の中を探しても、みつかりっこない。猿がタマネギ向いていくのと一緒。

ひとつ「これをやりたいってことにしよう」と決めると、それを軸に論理武装する事は可能。
ぼくもサークルの先輩に新聞社の人たくさんいて、いい仕事してるのがカッコ良かったので憧れただけ。たまたまジャーナリズム業界、できれば新聞社に行きたいってことにしようと決めてから、やるべき事が増えていった。結果的に、斜め上方向のウルトラC的な選択ではあったけど
、当初の目的は果たしている。

最後に

もしシューカツへのアドバイスをするとしたら。こんなシューカツ上手くいかなかったやつのアドバイス聞いたってしょうがない、ってのはあるけど。いわゆる新卒の、有名企業の試験だけがシューカツの全てってわけじゃないんだぞ、ってのは言える。

いろんな社会の表門だけを見てると、入り口なんか狭すぎるよって思うかもしれないけど、勝手口とか裏門も見るようにすれば、意外とたくさんあるじゃん、という見え方に変わっていくかも。から潜り込んじゃって、自分のできる範囲を広げれば、意外に重宝されて捗ったりするかも。